2025年12月4日木曜日

【5日目】「人権」ってなんだろう?


こんにちは!にしこです。

今日は私にしてはすごく真面目な話をしたいと思います。それは、


「人権」


について、です。この言葉は病気や障害の当事者にとって、常に重要な意味を持つ言葉です。当事者運動は損なわれた人権を求める運動であったし、「リカバリー」という概念も人権意識の中で広がってきました。




でも、ひとたび

「人権ってなんだろう?」

という問いの前に立つとき、私はいつも頭の中が綿菓子のようになってしまいます。



考えかたとしては、

「ひとが人として生まれる時に生来もつ普遍的な権利」

なのかなと思いますが、具体的な形を思い浮かべようとすると、その姿は曖昧模糊となってしまうのですよね。




「そんなの、世界人権宣言をたどれば書いてあるじゃないか」

という声も聞こえてきそうですが、それはいわば法制度的な枠組みの話。どこかの「特定の人たち」がその人たちの持つ「特定の価値観」をもとに定めたものです。想像するに西欧の人たちが、その思想史的流れの中で考えたものじゃないかと思うのです。



現在、そうした誰かが定める形の「人権」の限界が見え隠れしてきています。実際、現代世界の紛争の多くが「人権擁護」の名のもと起こっています。プーチンの戦争はウクライナ領内のロシア人の人権を守るためと称して始められたものだし、ネタニヤフの戦争も奪われた人質の人権を守るためとして始められています。そしてそれらの戦争により甚大な人権侵害が引き起こされています。こうしてみると私たちは、個人の都合や時代の流行に左右されない、もっと普遍的な人権概念を共有するべきなのかなと思いますが、現代の情勢ではそうもいかないようです。



話が大きくなりすぎたので「人権」という言葉の曖昧さについて、もっと身近な例を考えてみます。木山幸輔先生はそのご著書でこんな例をあげています。「あなたが台所の棚に大事に保管していたウイスキーを、ルームシェアしている友人があなたの許可を得ることなく飲んでしまった場合」です。このケースであなたがもし人権侵害として友人を非難したとしても、周りの人は直感的に、これを「人権問題」としてはあなたを擁護しないでしょう。でも一方で、あなたは「人間が財産権を保有することは世界人権宣言第17条に書かれている」と主張することもできるわけです。もし仮にこの問題の解決策として、ウイスキーの値段によって人権問題かどうか判断するとしたら、人権の普遍性はたちまち揺らいでしまいます。




このように「人権」という概念を突き詰めるにつれ、私は霧の中に迷い込んでしまいます。

ただ言えることは、私たちは「人権」について学び、考え、意識し続けなければならないということなのかなと思います。



今日12月4日から人権週間が始まります。世界人権宣言が1948年12月10日に国連総会で採択されたことを記念するものだそうです。それにちなんで、私も「人権」について思いを馳せてみました。




※ 文中紹介した木山先生のご著書は以下です。

木山幸輔(2022) 「人権の哲学 基底的価値の探究と現代社会」東京大学出版会.


ではまた!



つぶやきびと:にしこ


なんとなくりんご