2022年6月10日金曜日

天職 あるいは生涯一つのしごとを全うすること

こんにちは!にしこです。

東京は本格的な梅雨に入り、あじさいの花がさまざまな色に咲いています。

そんな肌寒い梅雨空の下、近所の床屋さんがひっそりと閉店しました。お年を重ねた老主人が一人で、お客さんの髪を切っていたお店でした。今日、お店の前を通りがかったら、ガラス戸に張り紙がありました。「主人が高齢のため閉店します」ということと、「これからは息子が営む支店をよろしくお願いします」という旨と、それから短いお礼の言葉が記されていました。「56年にわたるご愛顧ありがとうございました」。

しばし足を止めてペン字で書かれたその張り紙に見入っていました。56年。表通りから外れた裏道の、この質素な構えの小さな店舗で、56年。56年前はここらへんは多分、田畑で囲まれていたはずだけど。ここでずっと日々、訪れるお客さんと二人の時間を過ごしてこられたのだなあと。

私は最近ようやく一つの仕事を生涯やり遂げることの尊さを知るようになリました。人に褒められることを望むわけでなく、ただ日々の糧を得るために、毎日毎日、働き続けることの尊さを。転職を重ね、流転の人生を送ってきた自分の人生をなぞりながらそう思います。

私はその床屋さんには実は一度しか散髪にいったことがなかったけど、ゆっくり丁寧に顔を剃ってくれた、寡黙なご主人のお顔に刻まれた深いしわを思い出します。

さてさて、私たちのピアスタッフという仕事は、一生をかけて臨める職業になっていくのでしょうか。

(つぶやきびと:にしこ)