こんにちは!にしこです。
私の好きな本の一冊に「どうぞのいす」という絵本があります。
お話はこんな感じ。
うさぎさんが小さないすを作ります。
「どこへおこうかな」
うさぎさんはできたいすを
大きな木の下に置きます。
「どうぞのいす」という立札も。
そこへ、ろばさんがやってきて、
どうぞのいすを見つけます。
「おや、なんてしんせつないすだろう」
ろばさんは座る代わりに、
拾ってきたどんぐりが入ったかごを
いすに置いて昼寝を始めてしまいます。
そこへ、くまさん、きつねさん、りすさん
かわるがわる動物たちがやってきて...
このお話で繰り返し使われるのは、「どうぞ」という言葉と「おきのどく」という言葉です。
最初に「どうぞ」の立札を立てたのはうさぎさんですが、その「どうぞ」の立札をどう見るかは、やってくる動物によって少しずつ違います。「どうぞ」の受け取り方はそれぞれでも「あとのひとにおきのどく」という言葉で、見知らぬ誰かへの思いやりの気持ちがつながっていきます。
先月の朝日新聞朝刊に作者の香山美子さんのインタビューが載っていました。
「うさぎさんは誰かが座るかもしれないと思っていすを置いたかもしれないけれど、最初に見つけたろばさんはいすの上に荷物を置いてしまう。「どうぞ」の目的が変わったと読む人がいるかもしれませんが、「どうぞ」の言葉の意味そのものは変わっていないんです。」
「「どうぞ」って、誰かに何かをしてあげる時の言葉であり、誘う時の言葉でもある。自分以外の人に対する思いやりの大切さを込めました。「二つあったら一つはあなたにあげよう」という単純な心を伝えたかったんです。」
(11月28日(月) 朝日新聞朝刊)
「どうぞ」がつながっていくところが、読み手をなんとも楽しく、優しく、温かい気持ちにさせてくれます。「どうぞ」の気持ち、忘れがちですが大切にしたいなあと思います。
もう一つ素敵なところは、「どうぞのいす」の短いしっぽ。うさぎさんが、自分が作ったしるしにつけたのです。
もう40年も読み継がれているらしいのですが、なんとも温かい絵本です。
ではまた!
「どうぞのいす」作:香山美子、絵:柿本幸造 株式会社ひさかたチャイルド 1981
(つぶやきびと:にしこ)