2022年11月28日月曜日

2日目:dogfooding 誰も使わないピアスタッフ用語集その壱

ドッグフードを食べる(Eating Your Own Dogfood )

あるいは、ドッグフーディング (dogfooding)

IT業界で働いているときに知った言葉でした。ドッグフードの製造会社が「自社で製造しているドッグフードを食べる」ことで品質を確かめるように、エンジニアが自社の製品を使いながら開発したり、自社の製品を日常的に使うことを言います。製品を提供する会社が、自分たちも使い手となって、製品の質を向上させていくことです。

開発途中の製品は不具合がたくさんあるので、日常的な使用に耐えないことがよくあります。すぐに落ちてしまう、とか、データが消えてしまう!とか。難がある開発途中のものをあえて使い続けることで、不具合を早期に発見、修正できる可能性が高まるわけですね。

MicrosoftもAppleといった著名な企業においてもドッグフーディングは行われていたそうです。余談ですが、わたしがドッグフーディングを知ったのはMicrosoft Windowsの開発物語を読んだからでした。

さて、ピアスタッフは、自分たちが提供しているサービスを利用する立場でもあります。現在進行形でサービスを使っていなくても、近い将来に、あるいは過去に使っていたかもしれません。ピアスタッフはドッグフードを食べているのです。

自分が提供しているサービスや支援を自分が利用できるのか?と尋ねられればどうでしょう。対等性とか口にするのだったら、即答したいところですが、答えに窮するだろうことも想像できます。自分の拙いコミュニケーション能力での面談を受けたいだろうか?とか。視野を広げて、紹介している作業所や病院は自分が安心して利用できる場所だろうか?とか。

一般的な医療はさておき、精神科医療や福祉では、サービスの担い手が使い手になることをあまり想定してないように思います。自分が消費しないものを提供している意味あいでは、ドッグフード製造会社と似ているかもしれません(だから悪いとかそういうことではなく)。

ピアスタッフは、この精神科医療や福祉の世界で、サービスや支援のよくないところに胸を痛めつつ、より良いものへと改善させられる存在です。ドッグフーディングできるからこそ、より良いものになる可能性が生まれます。そうありたいと思います。