2021年12月5日日曜日

8日目 経験の広がり

 

今、とある市で行われている家族会、当事者の方の会に木曜日、月一回参加させていただいています。2時間開催されるその会は、私にとっても様々な経験を聞く大事な機会となっています。

精神科医として参加するのですが、その間に私がお話しすることは必要最低限のことで、とても短いです。診察場面での一対一の関係ではなく、そこには多くの対話があります。
いいなあと思うのは、家族の方が、こんな時、どんなことを感じているんでしょう、どんな言葉かけをした方が良いんでしょう、と当事者の方に聞いていること。
一通りの病の知識があったとして、とても太刀打ちできないほどの豊かな経験、言葉がそれぞれの方に宿っています。私はただ耳を傾け、生の言葉を自分の中に蓄積させていきます。

その会に参加される方が、この一回一回の経験の話がそのままになってしまうのはもったいない、どこかにデータとして残せないか、とおっしゃっていて、私もそんなことができたらなあと思ったりします。これだけAIが発達してきたのだから(といってもテクノロジー音痴の私には何をどうできるかはわからないのですが…)、残せたり、取り出せたり、それがまた次につながっていったり、という形ができていけばよいなあと思ったりします。

そんなことを思う木曜日の午後でした。

(つぶやきびと:えみ)