2021年12月25日土曜日

ピアスタッフの為の小さな継続学習会(3) 

9月から学習会を始めました。私たちも試行錯誤の手探り状態でまずはお試し的な意味合いも含め、当面はクローズで実施の予定です。

しばらくこの試みをやってみた後に、参加者を募って学習会を開けたらと考えており、現在はその準備も兼ねているといった感じです。参加希望の方には大変心苦しいですがご案内が整う時期がきたら、しっぷろWEBサイトにて案内するように致しますので何卒よろしくお願い申し上げます。

第3回学習会(勉強会)を2021年11月28日(日)に行いました。この学習会は、ピアサポートワーカーとして働くことについてなどをコツコツと学ぶための学習会をまずは小さいサイズの固定メンバーではじめてみよう、ということではじめました。内容について知りたい方もいらっしゃるかもと思い、少し共有させていただきます。


この日は、

  • 参加者同士の自己紹介

  • 学習内容

  • 今日感じたことの分かちあい & 今後の予定確認など…をしました 


 
学習会資料

ImROCの「ピアサポートワーカー:理論と実践」(5. Peer Support Workers: Theory and Practice) https://imroc.org/wp-content/uploads/2013/06/5ImROC-Peer-Support-Workers-Theory-and-Practice.pdf(2021 .09..25確認 )

(p.8-9) ピアサポートのコア原則 (Box 3: The core principles of peer supportから) 


「コアとなる原則」 ② Reciprocal(互恵性)

メンタルヘルスの専門家と支援する人々の間の伝統的な関係は、専門家(専門職)と非専門家(患者・クライエント)を前提としたものです。ピアの関係は、そのような特別な専門知識を主張するものではなく異なる世界観を共有し、探求し、一緒に解決策を生み出していくことです。

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  • 「伝統的な」という表現に、これまでそのように伝わってきたのだな、ということをイメージ。専門家と非専門家、というのがこれまで伝わってきたんだなということを「伝統的な」という表現から感じた。

  • 「異なる世界観を共有し」…似たような体験をしても違っている、と前回あったが、ここでも似たような経験をしていても世界観は違うんだなと思った。

  • 「探求し」ということを自分は考えてみなかった部分で、探求というところを新鮮だと感じた。

  • 異なる世界観を共有し、ということで互いに異なる視野を共有できたらいいなと思いつつ、なかなかそれに心を開けないときもあって。かといって、同じ世界観の人とばかりつながっていても、狭い感じもする。

  • 互恵性:互いに恵み、互いにいいものがあるというイメージなのだけれど、一緒に解決策を見いだしていくことということが互恵性と少し合わない感じがした。解決策を見いだすことが互恵性なのかな、、、とピンとこなくて。共有と探求は恵みだと思うのだけれど、最後が解決策なのか、、と。

    • 解決策と言ってしまうと、ピアワーカーが引っ張るみたいに思われてしまうかもと思ったけれど、後ろに書いてある一緒に解決策を考え合うとか、共に、お互いのためになることを考え合うというのがあったらいいなと思った。

    • 一緒に考え、生み出していく、というところがポイントなのかなと思っている。手立てがないところから、共に考えて新しく生み出していくというプロセスが、結果的に互いに恵みをもたらすということ、専門知識で何かをということではなくて、というイメージなのではないかと思った。

    • 一緒にひらめいた、みたいな経験がどんな感じであるかなぁと。

  • その結果、互いに恵みをもたらすんだなと思ったら、わかった。一緒にやった結果、違う者同士で良かったね、違う価値観の者同士で、新しい視野が開けた、というのがあってよかった、最終的に恵みをもたらしたね、ということだなと思った。

  • それぞれ、お互いに違うものを調べていて、コラボ!って感じに、いいものを一緒に見つけた経験がある。別にどちらが引っ張ったと言うことでもなく。そういうのがピアサポートの中でもあるかもと思った。

  • 一緒に大掃除をする友達がいる。一緒にと言ってもLINEを繋いでおしゃべりしながら、それぞれの手を動かしながら、大掃除をする。一人ではなかなかできないことも、雑談しながら一緒にだとできる。この感覚。

  • つまり伝統的な関係だけど、何かを持っている人が持っていない人に教えるとか。でもそうじゃない感じのことかも。一緒にいろんなことを持ち寄るっている感じなのかなと今思った。

  • 一緒に解決策を「生み出す」ということは、ないところから作っていくってことなのかな、と。ある企画をするにあたり、上司と話をしながら決めていくのだけれど、こういうときにはあの人にも聞いてみようよ等、考えていることを共有して、一緒に解決策を見いだしたことなのかなと。

  • solutions…、一言で言うと解決策になるのかもしれないけれど、でも向かいたい方向に進むとかそんなこともあるのかな?こうなりたいという方向にむかって一緒にとりくむ、創造するとか?だともっとピアサポート的な感じかな?

  • これどうなんですか?って言われたときに、どうなんでしょうね、って言ってしまう事が多いのだけれど、それは一緒に考えたいね、という意味でそう言っている。対等に、そしてスタッフ然としないかというのをどうやったらできるのだろうと模索している。

  • 「それは辛いだろうねぇ」とか返したら、共感されたいのではなくて明確な指示が欲しかったと言われてショックを受けたことがある

  • どうしようね、どうだろうね、というのは自分もそう言ったりする。自分の経験をあまり言ってしまうと、相手が引いちゃうこととかがあるので、相手に多めに話してもらった後で一緒に考えたいなと思っている。でも、自分ばかり話してしまったり、スタッフという立場があるので相手によっては「スタッフにこう言われた」と受け取られてしまうことも。

  • 明らかに自分と似たような課題を持っている人と、ツールを使ってピアサポートをするというのはやりやすいけれど、それ以外の場合には葛藤も多いなと思っている。

  • 相手の人が異なる世界観を共有したくない、という価値観の場合(共有したい自分と共有したくない相手と)。それもまた異なる世界観なので、難しいなと思った。

  • 怒られちゃったとか嫌われちゃったと思う人と、次に会うときに、また、挨拶をして、それを重ねていくって感じ?

  • この部分をこの人と共有できるかなぁと勝手に思って、「私も似たようなことがあって」と言ってしまったら、相手にとってはびっくりしたことだったみたいで、関係がぎくしゃくしてしまった。このため、次に会ったときに、突然言ってしまってごめんなさいと謝ったら、相手はあっさり、大丈夫ですよと言ってくれたのだが、自分は落ち込んでしまった。人によっては経験を急に言われたらびっくりしちゃうとはわかっていたのに。自分のタイミングじゃなくて、相手のタイミングなんだなと改めて思った。また、関係性ができているという自分の思い込みではなく、相手の様子をとらえて、どの部分なら言ってもいいかなとか、言ったときの相手の様子とかをみないといけないんだなと反省した。

  • いろんなことがあるという覚悟をもつ。うまくいくこと、良いことばかりでもないと思う。

  • 「大きな感情」におびえていないことを表す。

    • とまどっているんです、ということを言っちゃいけないということではないように思う。ゆれました、と言っても良いと思う。

    • 「大きな感情におびえていない」をみて思ったのは、従来は、相手の調子を崩させてはいけないとか、相手の力を見くびるとかそんな風におもった。自分は実はこういう風に思ったんだよねと言えるのかもしれないのに、それを言ってしまうと相手が調子を崩すのではないか、と、専門職側が思ってしまっていたことがあったのではないかと思った。

  • ピアの関係では、世界観を共有できると思う。しかし、共有できないという場合には、ピアとピアの関係ではないのかな、と思った。しかし、そこで共有できないということがあるとしたら、そこを考えることは大事だと思う。

  • 共有したくないと言える関係はすごく大事だと思った。

  • ピアとピアの関係は、人と人との関係に近いものがあると思っている。そういう関係性にあるときは、なんでも話せる。タイミングを見計らわなくてすむ。話したいから話そう、と主体と共に話している感じ。相手もそうだとしたら、今ってつながってるよね、と思う関係がある。

  • タイミングによっては閉ざされることもあったり、開かれたりもあったり。

  • 関係は常に変わるものという前提がある。同じ人との関係であったとしても、上司と部下、とか、ファシリテーターと参加者だったり、いろいろな関係があり得る。その中にピアとピアもある。

  • 異なる世界観を共有することを求めていない人の場合。例えば、こちらがピアの関係になりたいと思っていても、相手はピアの関係になりたいとは思っていなくて、「問題解決をして欲しい」と思っている場合には、ピアサポートは押しつけになってしまう?そんなときにピアスタッフはどうしたらよいのか。

  • ピアの関係にある人からも、問題解決して欲しいと言われることもある。問題解決が悪いわけではない。そのときにはピアとピアという関係ではないとは思うけれど。

  • 時には一緒に生み出すというものではないこともある。いろいろな形があってよいということをお互いが知っていればよいのでは、と思う。

  • ピアサポートの関係やピアスタッフは、いつでもピアとピアの関係でいないといけないとなったらすごく窮屈になっちゃうと思ったので、この話ができてほっとした。

感想

  • 関係が変わっていって良いという話が自分にとってすごくよかったなぁとおもった。共感されたいんじゃなくて指示がほしかったと言われたときにショックだったし、いつも指示する立場だと続けられないなと思ったことがあって。でもいつもその役割じゃなくてもよいと思えてよかった。

  • 最後の話を全て咀嚼できているわけではないが、いつもこうでなければと思ったら、肩の力が入っちゃうけれども、今はこっち、今はこっち、とかスイッチしていけたら、もう少し楽にやれるのかな、と思った。

  • こういう場があって本当にありがたいとつくづく思いました。知っていたことであっても、見えなくなっていたところにスポットライトをあてて見直すことが学びにつながるなと思った。一人ではできないことだと思い、皆でやることが学びにつながる。

  • 皆さんの話を聴いて、なるほどな、と学びをたくさんいただいたし、自分の思ったことを口に出すことで、自分はそういう風に考えていたんだということがわかったり、お話しすることで癒やされたりということがあって嬉しい時間だった。自分がショックを受けたことなども話ができて、これからもいろんなことがあると思うが、また頑張っていきたいなと思える時間だった。

  • 関係性がいつも同じではないというのが、その通りだと思った。実践していく上では絶対にそうなるだろうなと。瞬間瞬間の関係で変わっていく。両方求められるとつらいという話も聞いたりする。しかし現実的に働いていく中で、このような関係だけ、となるのも大変だろうと思っていた。たくさん質問させていただいてありがとうございました。

  • 互恵性ってなかなか難しいと思っていた。支援の場面では、ついつい問題解決を目指してしまったり、先走った支援をしてしまったりしてめげてしまうこともあったが、その時々のタイミングによって、こういった関わり方もある、またこういった関わりもある・・・と流動的に考えて良いのかな、と思えてよかった。その根底に、大事にしているピアサポートの関係があれば良いのかなと自分は解釈した。自分の中で難しいと思っていたことへのヒントをもらえた。





この学習会を含め、2021年度のしっぷろの活動は、「草の根市民基金・ぐらん」様の助成により実現しています。草の根市民基金・ぐらんさんのWEBサイトはこちら → https://citizensfund-grand.org/