2021年11月3日水曜日

ピアスタッフの為の小さな継続学習会(2)

9月から学習会を始めました。私たちも試行錯誤の手探り状態でまずはお試し的な意味合いも含め、当面はクローズで実施の予定です。

しばらくこの試みをやってみた後に、参加者を募って学習会を開けたらと考えており、現在はその準備も兼ねているといった感じです。参加希望の方には大変心苦しいですがご案内が整う時期がきたら、しっぷろWEBサイトにて案内するように致しますので何卒よろしくお願い申し上げます。

第2回学習会(勉強会)を2021年10月24日(日)に行いました。この学習会は、ピアサポートワーカーとして働くことについてなどをコツコツと学ぶための学習会をまずは小さいサイズの固定メンバーではじめてみよう、ということではじめました。内容について知りたい方もいらっしゃるかもと思い、少し共有させていただきます。

この日は、

  • 参加者同士のはじめの挨拶(近況など)

  • 学びあうために”お互いこうすることにしよう”ということの共有

  • 今日の学習会テーマに関して自由に話し合い …をしました。 

 

学習会資料

ImROCの「ピアサポートワーカー:理論と実践」

(5. Peer Support Workers: Theory and Practice)

https://imroc.org/wp-content/uploads/2013/06/5ImROC-Peer-Support-Workers-Theory-and-Practice.pdf(2021 .09..25確認 ) (p.8-9) コア原則 (The Core Principles)


コアとなる原則」①Mutuality(相互性)

サポートを与えたり得たりするピア達の経験は、決して同じではありません。しかし、精神保健施設で働くピアワーカーは、共に働く人々(※利用者さん・患者さんのことを指す)の経験の一部を共有しています。彼らは、共通のメンタルヘルスの課題、私たちの社会で「精神的な患者」として定義されることの意味、そして混乱、孤独、恐怖、そして結果として生じる可能性のある絶望について理解しています。

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  • 難しいと思った。それぞれ経験が違うと思うが(周囲が)ピアスタッフだからわかりあえるでしょう、という思い込みがあったり、ピアスタッフの中に同じような経験をしているから大丈夫という気持ちがあったりもするか。共通しているところもあるが決して同じではないという感覚が腹落ちしていない。

  • ほんとだなとい思いつつ、経験が同じではないことを最初にきちんと伝えている感じ。同じじゃないよね、ということを分かっておくのは大事だと思う。

  • 本文の「結果として生じる」とは何の結果なのか。”can ensue”(原文) という意味で、混乱、孤独、恐怖、そして続いて起こりうる絶望について・・・という。

  • 分かち合うことは希望とか共感とかだけではないよね。でも圧倒された感覚とか誰にでも言えるものではない。

  • 互恵性につながる前段階が相互性?(※この資料だとその順番になっている)重なりあう部分があるということを言いたいのかな。

  • 重なり合うところが、その人の経験と自分の経験が同じではなかったとしても重なる部分はある。共有ってなんなのかな。どっちもともにあっていい、というなかで知り合うこと。

  • ピアたちの経験は同じでなくてもよい。それぞれにみんな(自分の経験や背景が)ある。

  • ただあるものはあるだけで、枠はつけなくて良いのでは。

  • 有るものの大きさが同じだと相互性を感じやすくなるのかな。自分と相手の大きさが違うと(大きさが大きい人の意見や体験が)ついつい、正しいとかになりやすいかもしれない。相互性を生み出す前に終わってしまうのかもしれない。

  • この資料でも同じ経験ではない、といいつつ、同じではないと言い切ってはいない。バランスが難しい。

  • 相互性というのは行為を何かのマニュアルにそってやるということでは無くて、行動や振る舞いとは違うような。お互いのやりとりの結果として相互な感じ(関係性)が生じるイメージ。一方的に話しても相互的ではない。

  • 共有するというと、相手に話す、というアクション。人と分かち合うというアクションではなく、ただ(その人がその人の経験を)持っている。それを互いに知ることで、相互にこういう経験をもっている、と響きあう。共有はアクション?

  • 共にそういう経験があるよね、もっているよね、というのはわかるけど、共有だと分かち合う次のアクションがあるような気がする。見せ合う作業がないと共有にならない。自分の良いところを共有する人もたくさんいる。ピアに関しては、大変だった気持ちとか、孤独に感じたときのこととかの引き出しもお互いに見せられると安心するかもしれない。

  • お互い引き出しを差し出したときに、共通することがあると、あなたも、という気持ちになることが分かち合い。次の一歩なのかなと思ったり。

  • 経験の一部を差し出す、見せること、をしなくとも相互性を感じることがあった。共通の困難を持つ人の集まる自助会、同じ生きづらさがあるという前提があると、共鳴する感じ。同じ立場、属性のある人が集まると安心感があったり。精神的困難をもっている、ということで共通、絶望も理解しあえる、という自然に働くものがある。

  • 他にも例えば、海外に住んでいる日本人の方が、その国の日本人グループなどに行ってみることで、共鳴しあったり。子育て中のママが子育てサークルに行ったときに、何かホッとする感じとかもそんな感じかな?話す手前から空気感とかで話さずとも共鳴がはじまっているとかあるのかも。

  • 自助グループって最初は自分の話をする準備はできていなくて、でもその場の人たちの話だけ聞いて帰ることもある。けれど、共有するというのが同じ分だけ引き出しを見せ合うとかじゃなくてよい。

  • 自助グループとか何かの学習会とかでも、ずっと何も話されない方もいて、それでもいいんだよねと思う一方、状況によっては負担に感じちゃう自分もいる。相手にも話して欲しいのにって思ってしまう時もある。自分のコンディションが良くない時には余計そう感じる気持ちが大きくなるときも。そうなると、相互性っていうけど、そうは感じづらいと思ってしまう。

  • この会に居たくないんじゃないかな…と感じ始めてしまったり。相互性に大きさがもしあるのなら、いつも同じ大きさではなくて、大きさが変わっていくような感じ。相手との間で時に収縮したり、大きくなったりと一定じゃないような。

  • 同じテーマで集まっているメンバーがいるが、分かり合える時と、空まわりして終わる時もある。相互性が伸縮。

  • 場所に共鳴するものを感じることがある、という話の時に「もの」というのもあるかもしれない。自分が持っているものの同じものが飾られていたら嬉しくなる。行き交うものがある。

  • 相互性となると、自分と対象の何かがあって、その間の行き交うものをいうのでは。そうでなければ「性」というのはつかないのではないか。間にあるもの、と考えると関係性なのかな、と思ったり。

  • 性質で考えるとおもしろい。

  • 行きかう間のもの、なるほど。

  • 「相互」ならお互いあるもので良いが、「性」が入るとまた変わるのでは。

  • 性質だから伸縮性、ということにもつながるかもしれない。

  • (その場でネット検索をしてみて)IPSのWEBサイトから…相互性のある関係とは、双方がうまくいっている。一方的ではない。

  • 鬼滅の刃の話題で相手と相互性を感じることがある。

  • ピアスタッフだからと言って、同じ経験があると丸っと考えてしまうと現実にはギャップがあると思う。以前利用者さんに怒鳴られた経験がある。ピアだからと言って、わかりあえることばかりではない。

  • 根底にある経験が全然違うことがある。同じ当事者である、ということは確かにあるが、背景が違うことでこんなに分かり合えないことがあるんだ、とか。ピアスタッフとして働いていて不安に思うのは、やっぱり経験違うよね、ということ。ピアスタッフって何だろうと思ってしまっている。常に不安。同じ精神的困難の経験を有しているというだけでピアスタッフができるのか、存在意義は何かを考えてしまう。

  • 専門職の人に「ピア同士だから分かり合えるでしょう~」と言われると「そんなわけあるかーい」と思うことがある。

  • でも、起きた事象は違うかもしれないけれど、その時の混乱や圧倒された感覚は分かち合えるとも思う。事象で語ると線引きされてしまうことがあるのかもしれない。

  • 同じような精神的困難の経験をしている中で、その人に言えることと言えないことを分けることがある。タイミングなど、自分の感覚で判断している。同じような経験の中で起こっているが、相手からの言葉で自分が傷つくこともあるし、自分の言葉が相手に影響を与えていることがある、ということを知った。恐怖であったり、傷つくことも一時あったということを、いま言いたくなった。

  • ピアスタッフとしてその役割を果たしたいと思っている人がいるけど、表裏一体のところでバランスをとるのが非常に難しい。

  • バランスを維持することが大変。自分の困難を経験を背負ってきたものの責任というか。

  • 似たような経験をしているからこそ、相手に対してネガティブな感情を持ってしまうことも時にある。例えばデイケアで仲良かった子が急に働くと聞いたりしたとき、それを素直に応援できる時もあれば、自分の状況によっては素直に応援の気持ちを持てない時もありそう。でも応援とかそれを祝うとか、そういうところに立てるのがピアスタッフなのかなーと思う。ひとによっては、次の一歩が励ましになることもあれば、嫉妬とかネガティブな感情につながる時期がある。

  • 属性が違うと嫉妬の対象にはなりづらいのかな。同じ属性だからこそ、ロールモデルや希望になったり、逆にネガティブな感情を抱いたり。バランスが難しい。

  • ほかにも障害者雇用で一般企業で働くことが決まった、と言われると良かったね!という気持ちもあれば、同時に自分の今を改めて感じてみたり思ってしまうだろうし。今をお互いに喜べるとよい。


感想

  • 話せてよかった。こんなにひとつひとつの言葉を掘り下げて考えることもなかったし、これだけみんなで話せると広がりのある話にできるのだなとおもった。

  • 一個のことに時間をかけて話せるとよいなと改めて感じられた。研修とかだとパタパタパタと終わってしまって、自分にとっては早い感覚がある。一個一個、まとまらなくても思ったことをお互いに言ってみられるというのはありがたい時間。嬉しかった。次回も楽しみにしています。

  • 全然まとまらず、頭に浮かんだことを言った感じだが、みんなが受け止めてくれたのがありがたかった。一つ一つの言葉を丁寧に扱っていくのは良いな。思っていることを話して棚卸しできて良かった。

  • ピアサポートについて、ピアスタッフについて、ピンとこないことが多いなっていう感覚と、これは私の経験でも感じたことのある感情、経験だなというのがあって、もっと知りたいと思った。忙しく思考が置いてけぼりになる場とは違って、ここに居られるというのが良かった。

  • 温かい場だなと思って、ガイドラインはいらないと思った。冬のこたつであったまっている感覚。一緒にいられることが嬉しいです。





この学習会を含め、2021年度のしっぷろの活動は、「草の根市民基金・ぐらん」様の助成により実現しています。草の根市民基金・ぐらんさんのWEBサイトはこちら → https://citizensfund-grand.org/